呼吸

 

 

 

 

作業に移る前に、私たちはベルを3回鳴らし9回呼吸をします。

1回のベルで3呼吸ずつ、他のことを考えずに、ただ呼吸だけに集中します。

 

車が通り過ぎれば車の音に気をとられ、誰かが体を揺らしたりすると、すぐ気になったりします。

呼吸だけ行う、こんな単純なことがなんて難しいのでしょう。

 

私たちは常に何か考えごとをしたり、気が散漫で、一つの動作だけに専心することができません。

例えばご飯を食べながらTVを見たりと、口を動かしながらも頭は別のことを考えています。

 

吸う息・吐く息は瞬間、瞬間、生命ををつなぐ働きがあり、

それを意識できれば、私たちは、深く自分の身体を感じることができます。

つまり、命そのものに集中することができるのです。

呼吸は、散っていく意識をつなぎとめるフックのように、私たちを「今ここへ」戻してくれます。

もしも、心と身体が切り離された状態で瞬間、瞬間を生きるなら、一体私たちはどこにいるのでしょう?

その先の未来に、果たして私たちはいるでしょうか?

 

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人間には体がある。

過去一世紀の間に、テクノロジーは私たちを自分の体から遠ざけてきた。

私たちは、自分の嗅いでいるものや味わっているものに注意を払う能力を失ってきた。

その代わり、スマートフォンやコンピューターに心を奪われている。

通りの先で起こっていることよりもサイバースペースで起こっていることのほうに

もっと関心を払う。

 

自分の体や感覚や身体的環境と疎遠になった人々は、疎外感を抱いたり

混乱を覚えたりしている可能性が高い。

有識者はそのような疎外感を、宗教的な絆や国民の絆の衰退のせいにすることが

多いが、自分の体とのかかわりを失うことのほうが、おそらく重大だろう。

 

自分の体にしっくり馴染めないなら、世界にしっくり馴染むことはけっしてできない。

               

                              「 21Lessons 」

               ユヴァル=ノア=ハラリ Yuval Noah Harari  

               

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